はじめに
「うちの子は集団行動が苦手で、いつも一人でいる」「お友だちとの関わりでトラブルになりやすくて心配」「集団の中で浮いてしまっているように見える」「みんなと同じように行動できなくて、注意されることが多い」――。放課後等デイサービスを検討する保護者の方から、こうした相談は非常に多く寄せられます。
お子さまが集団の中でうまく過ごせないことは、保護者の方にとって大きな心配事です。「この子は将来、社会でやっていけるのだろうか」「お友だちができないのではないか」「学校で孤立してしまうのではないか」といった不安を抱える方も少なくありません。
特に発達に特性のあるお子さまの場合、集団行動の難しさはより顕著に現れることがあります。周囲の空気を読むことが苦手だったり、自分の気持ちを抑えることが難しかったり、他者の視点に立って考えることが困難だったりと、さまざまな理由で集団活動に参加しにくいことがあります。
冬は屋外活動が減り、室内で複数人と過ごす時間が長くなるため、集団での関わり方がよりクローズアップされる季節です。外で思い切り走り回って気分転換することが難しく、限られた室内空間で他者と一緒に過ごす時間が増えます。この環境は、集団が苦手なお子さまにとって、ストレスが大きい状況かもしれません。
しかし一方で、冬は協調性を育てる絶好のチャンスでもあります。限られた空間や活動の中で、相手を意識しながら過ごす経験を積み重ねることで、お子さまたちは少しずつ「一緒に行動する力」「人と関わる力」を身につけていくことができます。室内という落ち着いた環境で、じっくりと他者との関わりを学ぶ機会が増えるのです。
株式会社アイオライトが広島市内4エリアで展開する放課後等デイサービス「まごころの家」では、冬の集団活動を通して、お子さま一人ひとりのペースに合わせた協調性を育てる支援を行っています。無理に集団に合わせさせるのではなく、お子さまが安心して参加できる環境を整え、段階的に協調性を育てていきます。
本記事では、冬の集団活動の特徴、そもそも協調性とはどのような力なのか、協調性がどのように育っていくのか、冬の集団活動の具体例、そしてその過程を支えるスタッフの支援方法について、保護者の方と支援職を希望する方に向けて分かりやすくお伝えします。お子さまの集団での様子に悩んでいる保護者の方、協調性を育てる支援に興味のある方に、少しでも参考になれば幸いです。
目次
冬の集団活動が持つ特別な特徴

冬の集団活動には、春や夏、秋とは異なる独特の特徴があります。この特徴を理解することで、なぜ冬が協調性を育てるのに適しているかが見えてきます。
室内活動が中心となる環境
冬は寒さや天候の影響で、室内活動が中心になりやすい季節です。外で自由に走り回ることが難しく、限られた室内空間で過ごす時間が長くなります。この環境は、一見すると窮屈に思えるかもしれませんが、実は協調性を育てる上で重要な意味を持っています。
室内という落ち着いた環境では、お子さま同士の距離が自然と近くなります。外遊びのように広い空間で各自が好きなことをするのではなく、同じ部屋の中で、他者の存在を意識しながら過ごすことになります。この「他者を意識する」という経験が、協調性の第一歩となるのです。
同じ空間で過ごす時間が長くなる
冬は日照時間が短く、外が暗くなるのも早いため、必然的に室内で一緒に過ごす時間が長くなります。長時間、同じ空間で過ごすことで、お子さまたちは他者と関わる機会が増えます。
最初は緊張していたお子さまも、一緒に過ごす時間が長くなることで、徐々に他のお子さまの存在に慣れていきます。「この子はこういうことが好きなんだ」「この子はこういう時に笑うんだ」と、他者への理解が深まっていきます。
活動内容が限定されることの意味
冬は活動内容が限定されやすいという特徴もあります。外遊びのように自由に動き回ることができず、室内でできる活動の中から選ぶことになります。この「限定された選択肢」が、実は協調性を育てる上で重要な役割を果たします。
選択肢が限られているからこそ、「みんなで一緒に何かをする」という機会が自然と増えます。それぞれが別々のことをするのではなく、同じ活動に参加することで、共通の体験を持つことができます。この共通体験が、仲間意識や協調性の基礎となるのです。
このような冬特有の環境では、順番を待つ、相手の動きを意識する、気持ちを調整する、譲り合う、協力するなど、協調性に直結する場面が自然と増えていきます。冬という季節そのものが、協調性を育てる絶好の機会を提供してくれているのです。
協調性とは本当はどのような力なのか
「協調性」という言葉を聞くと、多くの人は「周囲と同じように行動できること」「わがままを言わずに集団に従えること」をイメージするかもしれません。しかし、私たちが考える協調性は、それとは少し異なります。
協調性の本質は「共に在る力」
協調性とは、単に「周囲と同じように行動できること」だけを指すものではありません。むしろ、協調性の本質は以下のような力です。
まず、相手の存在に気づくことです。自分だけでなく、他者もそこにいるということに気づく。これが協調性の第一歩です。発達に特性のあるお子さまの中には、自分の世界に没頭してしまい、周囲に人がいることに気づかないこともあります。まずは「あ、他の人もいるんだ」と気づくことから始まります。
次に、自分の気持ちと相手の気持ちの両方を考えることです。「自分はこうしたい」という気持ちだけでなく、「相手はどう思っているかな」「相手は何をしたいのかな」と考えられることが、協調性を育てます。これは簡単なことではありませんが、少しずつ経験を積むことで育っていきます。
そして、違いを受け入れながら関わることです。人はそれぞれ違います。得意なこと、苦手なこと、好きなもの、嫌いなものが違います。この違いを「おかしい」と否定するのではなく、「そういう人もいるんだ」と受け入れることが、本当の意味での協調性です。
こうした力が少しずつ育つことで、お子さまは集団の中での安心感を持ち、人との関わりが広がっていきます。無理に周囲に合わせる必要はなく、自分らしさを保ちながら、他者と共に在ることができる。それが、私たちが目指す協調性です。
発達特性のある子どもにとっての協調性
発達に特性のあるお子さまにとって、協調性は一気に身につくものではありません。定型発達のお子さまが自然に身につけていくことも、特性のあるお子さまにとっては意識的に学ぶ必要があることもあります。
しかし、時間をかけて、適切な支援の中で経験を積むことで、協調性は必ず育っていきます。「この子は協調性がない」と決めつけるのではなく、「まだ育っている途中なんだ」と長い目で見守ることが大切です。
だからこそ、日々の集団活動の中で、段階的に、無理なく経験を積むことが重要なのです。焦らず、お子さまのペースで、少しずつ協調性を育てていきます。
冬の集団活動の具体的な内容と工夫
まごころの家では、冬の時期に、お子さまの協調性を育てるさまざまな集団活動を行っています。ここでは、具体的な活動内容とその工夫をご紹介します。
役割を持てる集団あそび
冬の室内活動では、一人ひとりに明確な役割を持てる集団あそびを多く取り入れています。役割があることで、「集団の一員である」という意識が芽生え、参加意欲も高まります。
順番に進めるゲームでは、「次は〇〇くんの番だよ」と順番を明確にすることで、待つ練習ができます。トランプやボードゲームなど、ルールがはっきりしているゲームは、お子さまにとって分かりやすく、安心して参加できます。順番を待つことは、協調性の基本となる大切なスキルです。
簡単な係を決めて行う活動では、「カードを配る係」「点数を数える係」「時間を測る係」など、それぞれに役割を与えます。自分の役割があることで、お子さまは「自分は必要とされている」と感じ、責任感も育ちます。役割を果たすことで達成感を味わい、集団活動への意欲が高まります。
協力して完成させる制作活動も人気です。たとえば、大きな壁面飾りをみんなで作る、グループで一つの作品を作り上げるなど、協力しなければ完成しない活動を通して、「一緒に何かを成し遂げる」経験を積みます。自分一人では難しいことも、みんなで協力すればできる。この体験が、協調性を育てます。
自分の役割があることで、お子さまは「集団の一員である」という意識を自然と持つようになります。ただ集団にいるだけでなく、集団の中で自分の居場所を見つけることが、協調性の土台となります。
少人数から始める段階的な集団経験
いきなり大人数での活動に参加することが難しいお子さまには、少人数での集団活動から始めます。無理なく、安心して参加できる環境を整えることが、何より大切です。
2〜3人での協力あそびでは、大人数が苦手なお子さまでも参加しやすい規模で活動します。少人数だからこそ、一人ひとりの役割が明確になり、「自分も参加している」という実感を持ちやすくなります。また、相手の顔や気持ちも見えやすく、コミュニケーションが取りやすくなります。
スタッフが間に入った関わりも大切です。お子さま同士だけでは関わりが難しい場合、スタッフが橋渡し役となります。「〇〇くんが△△って言ってるよ」「一緒にやってみる?」と、適切な声かけをすることで、お子さま同士の関わりをサポートします。スタッフという安心できる存在がいることで、お子さまは安心して集団に参加できます。
安心できる距離感の調整も行います。物理的な距離、心理的な距離、関わりの深さなど、お子さま一人ひとりに合った距離感を見極めます。近すぎると緊張してしまう子、離れすぎると孤立してしまう子、それぞれに適切な距離があります。スタッフは、お子さまの様子を見ながら、その子に合った距離感を探ります。
無理のない形で集団経験を積むことが、協調性の土台となります。「集団は怖くない」「一緒にいることは楽しい」と感じられることが、次のステップへの意欲につながります。
冬ならではの季節感を活かした活動
冬ならではの季節感を活かした集団活動も取り入れています。クリスマス会やお正月遊びなど、季節の行事を通して、集団で楽しむ経験を積みます。
季節の行事は、お子さまにとって特別な体験です。「みんなで一緒にクリスマスを祝った」「お正月遊びを一緒にした」という共通の思い出が、お子さま同士の絆を深めます。特別な体験を共有することで、仲間意識が自然と育ちます。
協調性を育てるための支援のポイント
協調性を育てる支援には、いくつかの重要なポイントがあります。まごころの家が大切にしている支援の考え方をご紹介します。
できた参加できたという過程を大切に認める
協調性を育てる上で最も重要なのは、完璧を求めすぎないことです。最初から上手に集団行動ができる必要はありません。小さな一歩、小さな成長を丁寧に認めることが大切です。
最後まで参加できたことを認めます。途中で抜けてしまわず、最後までその場にいられたこと自体が大きな成長です。「最後まで一緒にいられたね」と認めることで、お子さまは「自分もできるんだ」と自信を持つことができます。
相手の話を聞こうとしたことも認めます。完璧に聞けなくても、聞こうとする姿勢があれば、それを褒めます。「〇〇くんの話を聞こうとしていたね」と、その努力を認めることが大切です。
その場にいられたことも大きな一歩です。集団活動に参加すること自体が難しいお子さまもいます。そんなお子さまが、同じ空間にいられたということは、それだけで大きな成長なのです。「みんなと一緒にいられたね」と、その事実を認めます。
こうした小さな一歩を丁寧に認めることで、お子さまは集団活動への自信を持てるようになります。自信がつくことで、次はもう少し積極的に参加してみようという意欲が生まれます。この好循環を作ることが、協調性を育てる鍵なのです。
他者と比較しない個別の成長を見守る
協調性を育てる支援では、他のお子さまと比べることは絶対にしません。「〇〇くんはできるのに、あなたはできない」といった比較は、お子さまの意欲を削ぎ、協調性の成長を妨げます。
その子自身の変化に目を向けることを大切にしています。前回より待てる時間が伸びた、自分から声をかけられた、気持ちを切り替えられた、こうした個別の成長を丁寧に見守ります。
「先週は5分しか座っていられなかったけど、今日は10分座れたね」「前は全然話せなかったけど、今日は『ありがとう』って言えたね」と、その子自身の成長を具体的に伝えます。過去の自分と比べることで、お子さまは自分の成長を実感できます。
この積み重ねが、協調性の確かな成長につながります。他者と比べられることなく、自分のペースで成長できる環境があるからこそ、お子さまは安心して挑戦することができるのです。
スタッフが行う細やかな支援の方法
協調性を育てる集団活動は、ただお子さまを集めて遊ばせれば良いというものではありません。スタッフの細やかな支援があってこそ、お子さまは安心して集団に参加し、協調性を育てることができます。
お子さま同士の関わりを適切に調整する支援
スタッフは、お子さま同士の関わりをそのまま任せきりにするのではなく、必要に応じて適切に間に入ります。放っておくのではなく、見守りながら、必要な時に手を差し伸べることが大切です。
言葉の代弁を行います。自分の気持ちをうまく言葉にできないお子さまに代わって、「〇〇くんは△△って言いたいんだと思うよ」と伝えます。お互いの気持ちが伝わることで、誤解が減り、トラブルを防ぐことができます。
気持ちの整理をサポートすることも重要です。お子さまが混乱しているとき、「今、どんな気持ち?」「何が嫌だった?」と一緒に気持ちを整理します。自分の気持ちを理解できることで、相手にも伝えられるようになります。
トラブル時の仲裁も行います。お子さま同士でトラブルが起きたとき、スタッフはすぐに間に入り、双方の話を聞きます。一方的に叱るのではなく、それぞれの気持ちを理解し、「こうすればよかったね」と一緒に考えます。トラブルも学びの機会として活かします。
お子さまが安心して集団にいられるよう、見えない部分で丁寧な支援を行っています。スタッフが適切に関わることで、お子さまは安全に、そして効果的に協調性を学ぶことができるのです。
チーム全体で情報を共有し支える集団支援
集団支援は、一人のスタッフだけでできるものではありません。チーム全体でお子さまの様子を共有し、一貫した支援を行うことが欠かせません。
お子さまの様子を共有する時間を大切にしています。ミーティングでは、「最近、〇〇くんは集団活動に積極的に参加するようになった」「△△さんは大人数が苦手だから、少人数から始めている」といった情報を共有します。チーム全員がお子さまの状況を理解することで、誰でも適切な対応ができます。
支援方法のすり合わせも行います。「この子にはこういう声かけが効果的」「この場面ではこう対応する」と、支援の方針を統一します。スタッフによって対応が変わると、お子さまは混乱してしまいます。一貫した関わりが、お子さまの安心につながります。
困ったときにはすぐに相談できる環境もあります。「集団活動でこんなトラブルがあった」「この子への関わり方で悩んでいる」と、いつでもチームに相談できます。一人で抱え込まずに、みんなで考えることで、より良い支援方法が見つかります。
チームで支えることで、お子さまにとって分かりやすく、安心できる環境が整います。安定した環境があるからこそ、お子さまは安心して協調性を育てることができるのです。
支援職を目指す方へ、集団支援のやりがい
集団活動の支援は、確かに難しさもあります。一人ひとりの特性を理解しながら、複数のお子さまを同時に見守り、適切に関わるには、高い観察力と判断力が必要です。しかし、その分やりがいも非常に大きい分野です。
お子さま同士の関係が少しずつ変わっていく様子を間近で見られることは、支援職ならではの魅力です。最初は一人で遊んでいたお子さまが、他のお子さまに興味を示すようになる。お互いに名前を呼び合うようになる。一緒に笑い合えるようになる。こうした変化の瞬間に立ち会えることは、何物にも代えがたい喜びです。
協調性を育てる支援を通して、お子さまだけでなく支援者自身も「人と関わる力」を深めていくことができます。お子さまの気持ちを理解する力、適切な距離感を保つ力、複数の人の関係を調整する力など、支援を通してさまざまなスキルが身につきます。
株式会社アイオライトでは、集団支援に関する研修やスタッフ同士の学び合いの機会も豊富に用意しています。先輩スタッフのサポートもあり、未経験からでも安心してスタートできます。
お子さまたちの協調性を育てながら、自分自身も成長できる。それが、集団支援の大きな魅力です。人と人との関係を支える仕事に興味のある方、ぜひ一緒にお子さまたちの成長を支えませんか。
まとめ
冬の集団活動は、お子さまたちの協調性を育てる大切な場です。限られた室内空間で、他者と一緒に過ごす時間が増える冬だからこそ、協調性を学ぶ絶好の機会となります。
安心できる環境と段階的な支援があれば、お子さまは自分のペースで集団に慣れ、人との関わりを広げていくことができます。無理に周囲に合わせさせるのではなく、お子さま一人ひとりの個性を尊重しながら、その子なりの協調性を育てていくことが大切です。
株式会社アイオライトが広島市内4エリアで展開する放課後等デイサービス「まごころの家」では、冬の集団活動を通して、お子さま一人ひとりの「一緒に過ごす力」「他者と関わる力」を大切に育てています。
小さな成長を丁寧に認め、比較せず、無理をさせず、お子さまのペースで協調性を育てる支援を心がけています。お子さまの集団での様子に悩んでいる保護者の方、協調性を育てる支援に興味のある方は、ぜひ一度まごころの家にご相談ください。スタッフ一同、心を込めてサポートいたします。
